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資本市場における事業会社と投資銀行のネットワーク

古典的な経済学に対して、ネットワーク理論を志向する経済社会学者たちは、実際の市場経済では、ネットワークが重要な働きをしていることを指摘しています。その中でも、Barker (1990)は、金融資本市場において事業会社が資金調達を行う際の、投資銀行との関…

市場経済において企業は顧客の方を向いているわけではない

神の「見えざる手」を想定する古典的な経済学の場合、自由市場があって、そこに売り手(生産者、企業)と買い手(消費者、顧客)が集まり、売り手と買い手が価格交渉する結果、需要と供給が均衡する点で、製品のスペックや価格が決まると考えられています。 …

大規模な組織間ネットワークはどのように進化するのか

組織間のネットワークは、いったん出現しそれが巨大化していくと、ネットワークに新たな組織が加わったり離脱したりと常にダイナミックに進化し、かつ複雑化していくと考えられます。では、こういった組織間ネットワークの進化は、どのような法則性に基づい…

役員兼任ネットワークの本質:企業はエリート階級の道具か

企業統治のシステムとして、社外取締役を多用するアメリカなどでは、企業のCEOなどの主要な役員が、他の企業の外部取締役を兼任することが多く見られます。これによって産業界で、役員兼任ネットワークが形成されていきます。役員兼任ネットワークは、組織間…

弱い紐帯の強さのパラドクス

今回は、ネットワーク理論や社会学ではあまりにも有名な、グラノベッターの「弱い紐帯の強み」を紹介します。人と人とのつながりなどにおいて、連絡しあう情報の密度も頻度も低いようなつながりを、弱い紐帯と言います。親友が強い紐帯だとすれば、単なる知…

呉越同舟型提携ネットワークの競争力学

現代の組織にとって、他の組織との戦略的提携はなくてはならないオプションになりつつあります。しかも、競合他社同士が提携することも起こります。コーペティション(コーポレーション[協同」とコンペティション[競争]を組み合わせた造語)まで出てくる次第…

戦略的提携ネットワークにどう埋め込まれるべきか

組織同士が自発的に戦略的な協力関係を築くことを戦略的提携と呼びます。これによって、組織間のネットワークが形成されてくるわけですが、組織の競争力を高めるためには、どのようなネットワークを構築していけばよいかは重要な問いとなってきます。これは…

ソーシャル・キャピタルをネットワーク理論で読み解く

組織にしても個人にしても、「つながり」が競争力に直結します。人脈の豊富な人が出世しやすいというのは1つの分かりやすい例でしょう。このように、「つながり」が競争力の源泉(資本)となりうるという視点から概念化されてきたのが、「ソーシャル・キャ…

戦略的提携はどのようにしてなされるか:ネットワーク理論による説明

ビジネスの世界では、企業どうしが戦略的な見地から、製品開発や市場浸透、その他さまざまな事柄においてお互いに協力しあう関係を樹立する「戦略的提携(アライアンス)」が増加してきました。戦略的提携では、お互いの組織が持つ資源を組み合わせて共同利…

ネットワーク効果のパラドクス:組織はどれくらいネットワークに埋め込まれるべきか

組織がネットワークでつながることのメリットはいろいろあります。この場合、ネットワーク上にいる組織は、ネットワークに「埋め込まれている」状態にあるといいます。ネットワークに埋め込まれていることが、その組織の行動を規定し、業績や生存率を左右す…

経営戦略論におけるネットワーク的視点の重要性

経営戦略論において最も人気のあるフレームワークは、ポーターのポジショニング・モデルと、バーニーのリソース・ベースト・ビュー(Resource-based view)でしょう。ポジショニングモデルは、業界構造の中で自社がどこに位置取るかが、競争優位性を獲得するう…

企業と「ご意見番」とのネットワークの重要性

一般的に、市場というと、商品やサービスを売る企業と、製品を買う顧客との交換関係として理解されがちです。しかし、商品やサービスによっては、顧客にとって品質を見極めるのが難しい場合があります。その場合、企業と顧客の間に、鑑定人、ご意見番、批評…

ネットワーク組織が普及しない条件

組織がアライアンスを組むなどネットワークでつながることのメリットはさまざまなものがあります。日本では、過去には財閥があり、現在でも系列や企業集団は一般的に存在し、組織間ネットワークを形成していることのメリットを享受しているといえましょう。…

ネットワーク組織の優位性

現代は、ネットワークの時代といってもいいかもしれません。それと呼応するように、ネットワーク組織(あるいは、ネットワーク型組織形態、組織間ネットワーク)という言葉もあります。直観的には、官僚制組織や純粋な市場経済とは一線を画す組織構造のよう…

市場の不確実性と企業のネットワーキング行動

企業が活動している市場においては、さまざまな不確実性に直面します。企業が不確実性に直面すると、不確実性を低減させようと行動します。経済学における取引コスト理論によれば、市場の不確実性が高まれば、市場における取引コストが増大するので、企業は…

ネットワークの構造的空隙効果対ステイタス効果

社会ネットワーク理論は、個人や組織が、自分にとって有利なネットワークを築くことによってさまざまなメリットや優位性が得られると示唆します。しかし、とりわけ市場経済のもとで活動する個人や組織にとって、いったいどのようなネットワークを構築するの…

つながりによって生み出される「ステイタス」

多くの学生が一流企業に就職したい理由は、そうすることによってステイタスが得られるからでしょう。同様に、一流大学に入学したいと思うのも、就職などに役立つステイタスが得られるからでしょう。このように、ネットワーク理論の視点からみると、ステイタ…

社会ネットワークの本質

クリスタキスとファウラー(2010)は、どんな規模のものであれ、社会ネットワークには2つの基本的性格があるといいます。1つ目は「つながりの構造」です。つまり、ネットワークを構成するとき、そこに含まれる人々をつなぐ絆には特定のパターンがあるといいま…

ネットワークの中心とはどういうことか

私たちの社会や組織をネットワークの視点で見るときに、直感的に重要だと思われる概念が「中心性」です。たとえば、自分がネットワークの中心にいれば、さまざまなメリットが得られ、他者よりも有利になると考えるでしょう。しかし、ネットワーク理論におけ…

組織論におけるネットワーク分析の視角

Zaheer, Gözübüyük & MILANOV (2010)は、組織論におけるネットワークの分析視角を、2者間(ダイアド)レベル、自己中心的(エゴ)レベル、ネットワーク全体のレベルに分類しています。ここでいうエゴというのは、自己中心的な性格という意味ではなく、特定…

組織論の新たな地平としてのネットワーク理論

近年、組織論の世界で急速に発展しているのが、ネットワークの視点です。一言でいうと、「ネットワーク」というレンズを使って、組織内で起こっている現象や、組織の振る舞い、組織間関係などについて理解していこうとする考え方です。 ネットワークの概念は…