生産性を高める前に労働時間を劇的に減らす

ホワイトカラーの生産性問題、長時間労働問題は、以前から指摘されつづけられながらも解決が難しい、根が深い問題だといえます。そして、これらの問題は、ワーク・ライフ・バランスや従業員の健康といった問題とも絡んできます。たとえば、ワーク・ライフ・バランスをどう実現するかという問題を突き詰めていくと、結局、古くからある生産性の問題、長時間労働に行きつくことが多いということです。


この問題を解決する正攻法は「仕事の生産性を高めることによって労働時間を削減する」ことでしょう。生産性が低いということは、仕事の中に無駄なものや非効率な作業が含まれているからであって、それらを取り除くことによって生産性が向上すれば、その分、時間が余るため、労働時間短縮が実現するという考え方です。これは一見正しいように見えるのですが、おそらく実現するのが難しいでしょう。


しかし、上記とまったく同じロジックでありながら、より実現可能な方法があります。それは、生産性を高めてから労働時間を減らすのではなく、最初に、有無をいわさず労働時間を劇的に削減してしまうという方法です。このことは一見すると不合理に思えてしまうのですが、上記のロジックが正しいのならば、この方法も正しいのです。ただ順番が違うだけなのです。


そもそも、労働時間を急激に削減してしまったら、これまでと同じ量の仕事をすることが不可能となります。しかし、上記のロジックにもあるように、生産性の低い仕事には、無駄な部分、非効率な部分が含まれています。したがって、時間がないので、仕事をこなしていくためには、重要な仕事、優先順位の高い仕事に集中せざるをえなくなります。その結果、無駄な仕事はしない、非効率な作業は効率化する、ということがなされるわけです。結果的に、重要な仕事、優先順位の高い仕事のみをするので、労働時間を劇的に削減したにもかかわらず、アウトプットのクオリティは下がらないというかたちで生産性が上がるのです。