2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

報酬・昇進・評価の人事経済学1ー人材の努力が引き出されることで企業利益が最大化するメカニズム

これまでの人事経済学シリーズでは、働く個人も、人材を雇用する企業も、損得勘定に基づいて利益を最大化するように行動するという前提のもとで、どのような募集・採用選考、教育投資、人材維持・放出政策をとることが双方にとってハッピーな結果をもたらす…

「謙虚なリーダーシップ」がチームの「こころの資本」を育む

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以前本ブログで紹介した「心理資本(または心理的資本)」の翻訳版「こころの資本」が出版されました。日本でも心理的資本の重要性と有用性の理解が加速度的に高まることを期待します。過去のエントリーで復習しますと、心理的資本とは「以下の4つの特徴を持…

スピードが求められる時代でも「先延ばし」が有効な理由(わけ)

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変化の激しい現代のビジネス社会はスピードが求められる時代です。ビジネスや仕事でぐずぐず、もたもたすること、先延ばしすることは、ライバルに先を越されるわ、仕事の能率は下がるわで、百害あって一利なしと考える人が多いのかもしれません。みなさんも…

教育投資と人材維持の人事経済学2―人材価値の含み損状態を切り抜ける

前回のエントリーでは、企業と人材とが共同で企業特殊的人的資本に投資し、それが成功して企業が持続的競争優位性を獲得し、それにより他社を上回る利益を上げ続けることができれば、企業も従業員も得をし、従業員は企業に留まり続けることを示しました。こ…

教育投資と人材維持の人事経済学1―企業も従業員も得する教育投資の方法

人事経済学の基本的な前提となっているのは、働く個人も、人材を雇用する企業も、利益(もしくは幸福)を最大化するように行動する、平たく言えば、損得勘定で行動するということです。これは、ヒト、モノ、カネといった3つの経営資源のうち、ヒトだけが、…

両利きの組織をどうやってつくるのか

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両利きの経営とは何でしょうか。加藤、オライリー、シェーデ (2020)によれば、両利きの経営とは、既存事業の「深堀り」(exploit)と新しい事業機会の「探索」(explore)を両立させる経営のことを指します。一般的に事業にはライフサイクルがあり、勃興、成長、…

募集と採用選考の人事経済学3―常に費用対効果で考える

今回も、ラジアーとギブス(2017)を参考に、募集と採用選考について、経済学的視点から考えてみます。企業が募集と採用選考を通して利益を最大化させるためには、常に費用対効果の視点から考えることが重要です。募集については、広告費用などをかけて、自社…

募集と採用選考の人事経済学2ーリスクコントロールで人的資源価値を最大化する

前回のエントリーでは、労働市場における情報の非対称性を逆手にとった工夫をすることで求職者の自己選択を促し、自然と自社にとって価値の高い人材のみが応募してくる仕組みをつくるロジックを説明しました。今回は、ラジアーとギブス(2017)を参考に、人材…

募集と採用選考の人事経済学1ー自己選択の促し方

以前のエントリーで、人事の経済学的理解とは、人事管理の仕組み(職務設計、採用、育成、賃金、評価など)によって、人間はどのように行動するのか(例、求職者はどのように就職活動するのか、従業員はどのように働くのか)。そして、その結果として企業は…