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複雑化が進む現代社会では、組織や社会において困難な課題を多くの人々の力を結集して解決していく必要に迫られています。社会全体でいえば、地球環境破壊、社会的不平等、国際紛争、エネルギー、生命倫理など、企業や組織でも、グローバル化、ダイバーシテ…
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)を初めとして、時代が大きく変化していく中で生き残っていくために組織を変革させていく必要性が高まっています。そこで欠かせない視点が、経営戦略・事業戦略・人材戦略の連動であり、それを実現するための組…
現代は、VUCA(変動制、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と呼ばれています。このような複雑な世の中において企業を経営したり世渡りを行っていくうえでますます注目が高まっているのが「システム思考」です。システム思考とは、対象や環境を様々な要素が結…
社会的企業とは、社会問題の解決を目的としたビジネスに取り組む企業を指しますが、社会問題の解決と収益を生み出すビジネスを両立させることは簡単なことではありません。SmithとBesharov (2019)は、営利企業と非営利企業の要素を併せ持つ社会的企業を、「…
企業を経営することには、ゴーイング・コンサーン(継続性、持続性)を前提としています。つまり、企業の経営者は、企業が持続的に存続できるように経営をしていく必要があります。その際には、現在の利益を維持しつつも、将来の利益につながるような投資を…
日本の組織経営は世界から見てもユニークな点が多くあります。そして、それが戦後の日本の高度成長を支えてきたともいえるし、その後の失われた30年といった低空飛行の原因となっているともいえましょう。それに関して守屋(2020)は、日本においては、論語…
近年、流行が広がりつつある「パーパス経営」。これは、社会における企業の究極の存在価値を基軸に経営を進めていこうとする思想ですが、これはもともとはジョブ型雇用を前提とする欧米企業のためにつくられた、極めて合理的な発想に基づいているといえます…
今回は、量子論をベースとする新しい組織マネジメント論の可能性について考えてみたいと思います。これは、量子力学に代表される量子論が提案する新しい世界の存在の理解や、その認識の理解に基づいて、組織現象の存在や認識について考えてみようとするもの…
組織変革は、組織マネジメントにおける最も本質的な活動もしくは現象の1つであり、多くの組織において課題や問題を抱えるテーマでもあります。組織を取り巻く環境は日々変化しており、その変化に対して組織も変化し適応し続けなければ組織は生き残っていけ…
西洋文明は、人間が機械など人工物の構築によって自然を征服するという構図で発展し、工業化社会が花開きました。その過程で中心を成した思想が機械論的な世界観であり、機械論的な組織観でした。そして、そのような思想を支えたのが、線形性という発想だと…
ニューサイエンスに学ぶ組織論2で議論したとおり、あらゆる生命体は、開放系としての散逸構造を持ち、自己組織化することで生命を維持しています。開放系としての生命体は、環境との相互交流を通して常に自分自身を作りかえながら、すなわち自己を創造し続…
ウィートリー(2009)は、私たちが組織や組織のマネジメントのためにニューサイエンスの成果から何を学ぶことができるのかについて、生物学、物理学、化学、そして複数の分野にまたがる進化論やカオス理論といった分野で蓄積が進んでいる知識を紹介しながら解…
私たちが組織を理解しようとするとき、例えばピラミッド構造の組織図をイメージするなど、部品からなる機械として捉えがちですし、組織をマネジメントしようとする際にも、組織を要素や機能に分解して問題のある箇所を見つけ、それを解決しようとしがちです…
パーパス経営を実践していくうえでカギとなるのが、組織メンバー全体に組織のパーパス、理念、ミッションなどが浸透し、組織メンバーが一丸となってその実現にむけて情熱を傾けられるような一体感、連帯感、帰属意識を醸成し、維持することだと考えられます…
組織マネジメントの観点から見た場合にパーパス経営の成否を握るのは、組織で働く人々がそのパーパスを自分ごととして捉えてその実現に向けたモチベーションを高めることができるか否かだと言えましょう。そして、それが可能となる条件は、企業のパーパスや…
高橋(2021)は、生命科学の研究者として、そしてベンチャー企業の経営者として、「生命の原理や原則を客観的に理解した上で、それに抗うことで主観的な意志を生かして行動できる」と説きます。そうすれば、自然の理に立脚しながらも希望に満ちた自由な生き方…
今回は、本ブログの人事経済学シリーズのうち「組織設計の人事経済学」の番外編として、デジタルトランスフォーメーション(DX)が、組織設計、職務設計、そして人々の働き方に与える影響について考えてみたいと思います。例によって、ラジアー & ギブズ (…
本ブログの人事経済学シリーズでは、人材や組織が経済合理性の原則にしたがって行動することを前提に、優れた人材の獲得と活用を可能にする人事管理と、人材活用の制約条件となりうる組織構造の効果的な設計を通じた組織のパフォーマンスの最大化について理…
企業は、優れた人材を獲得し、それらの人材を活用することで組織のパフォーマンスを最大化しようとします。しかし、企業が優れた人材を活用して組織パフォーマンスの向上につなげられるかどうかを左右する大きな制約条件として、「組織の構造」が挙げられま…
人事管理で重要なのは、自社にとって必要な人材を獲得し、その人材を活用して企業業績を最大化することです。そのために、過去の人事経済学シリーズでは、募集と採用選考、教育投資と人材維持、そして報酬・昇進・評価について解説を行ってきました。しかし…
前回の記事では、凹凸地形という概念とNKモデルを紹介し、企業経営の本質が「山岳地帯での探検」であるというメタファーを紹介しました。これは、パフォーマンス(業績)を山に例え、その山々を「視界の悪い山岳地帯」だと理解し、企業は視界のわるい山岳地…
企業や組織の経営の本質は複雑性との闘いといっても過言ではないでしょう。確かに、戦略、組織、人事、マーケティング、会計、ファイナンスなど、経営学には様々な分野があり、それを一通り学ぶことで企業経営の知識を身に着けることはできるでしょう。しか…
両利きの経営とは何でしょうか。加藤、オライリー、シェーデ (2020)によれば、両利きの経営とは、既存事業の「深堀り」(exploit)と新しい事業機会の「探索」(explore)を両立させる経営のことを指します。一般的に事業にはライフサイクルがあり、勃興、成長、…
戦略コンサルティングファームは、学部生や大学院生(MBAなど)の間で特に人気の就職先の1つだと言われています。しかし同時に、戦略コンサルティングファームは、一般では考えられないほど長時間働く職場であるという話も広がっています。近年、日本でも「…
近年、経営学においてレジリエンスという言葉に注目が寄せられています。日本語で言えば、弾性、回復力、しなやかさ、粘り強さといったところでしょうか。要するに、逆境に対してポキっと折れてしまわない力だといえましょう。組織レベルでの話をすれば、衝…
量子論は、私たちが観察するのが困難な微小世界の素粒子の振る舞いを説明するための理論として構築されてきました。量子論が私たちの住んでいる世界の根源的な性質を解明しようとする学問であり、量子論での見解がこの世界の本質をより正確に映し出している…
組織活動のもっとも本質的な機能の1つが「コーディネーション(調整活動)」です。組織内では様々なタスクが遂行されており、これらを上手にコーディネートして初めて組織として意味のあるアウトプットが出せるからです。別の言い方をすれば、組織内コーデ…
現在の経済環境は大きな変化を遂げており、組織のあり方も変わりつつあると言われます。新たな時代に適合する組織デザイン(組織構造の設計)はどのようなものなのでしょうか。ここで経営学的に考える上で重要なのが、「新しい組織デザイン」とは、「旧来の…
ビジネスの世界では、技術や製品のイノベーションのみならず、経営管理の方法においてもイノベーションが起こります。これを、マネジメント・イノベーションと呼ぶことにしましょう。経営の歴史においては、経営管理の構造、プロセス、手法において様々なマ…
組織は社会の掟とか不文律のような見えない力によって動かされます。例えば、日本の大企業がある時期に一斉にホールディングスを設立したり、年功的な賃金を排して成果主義的なものに置き換えたりした動きは、組織が何らかの社会的な圧力に従った結果だと解…