2023-01-01から1年間の記事一覧

エフェクチュアル・キャリアデザイン入門

経営学では20年ほど前に提唱され、近年になって実務界にも広がってきているコンセプトとして「エフェクチュエーション」があります。これは、優れた起業家が実践する原則としてアントレプレナーシップ分野の研究で用いられている概念です。吉田・中村(2023)…

戦略・事業・人材を連動させる組織能力開発とは

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)を初めとして、時代が大きく変化していく中で生き残っていくために組織を変革させていく必要性が高まっています。そこで欠かせない視点が、経営戦略・事業戦略・人材戦略の連動であり、それを実現するための組…

セレンディピティの発生メカニズムを理解しよう

ビジネスや経営に関わらず、私たちの成功や失敗に何らかの形で運が関わっていることは否定できません。しかし、運に対して単に受動的であるのではなく、運を積極的に味方につけるスキルや心構えを持っていれば、成功する確率を高め、幸運を味方にすることが…

サバティカル(長期休暇)がキャリアに与える可能性

近年、世界的に多くの企業で、サバティカル、いわゆる長期休暇制度の導入が進んでいます。サバティカルは、大学などにおいて研究に専念させるための長期研究休暇制度だったのが、従業員にレフレッシュしてらうための長期休暇として民間企業などに普及してき…

セレンディピティを味方にする組織をどう作るか

セレンディピティとは「予期せぬ出来事から生じる驚くべき発見」と定義されます。組織にとって、セレンディピティを味方につけることは、成功への大きな原動力となります。セレンディピティの例は、自然科学からビジネスまでたくさんありますが、よく引き合…

ダイバーシティ研修講師はいかにして多様なアイデンティティの仲介役になれるのか

ダイバーシティ研修の重要な特徴の1つが、「研修講師も含めてすべての参加者が当事者である」ということです。ダイバーシティにまつわる問題を理解し、それに直面していく際には、マジョリティーとマイノリティーとの関係、優遇されているグループとそうで…

「人的資本経営」は自己成就する理論なのか

いま日本では、「人的資本経営」という考え方が盛り上がりを見せています。経済産業省の資料によれば、人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方だそうです。これを少…

内発的モチベーション理論の新展開:目的ー手段融合モデルの革新性

ワーク・モチベーションの中でも、特に「内発的モチベーション」は、多くの研究者や実務家がその重要性を認識しているがゆえに、最も白熱するトピックだと言えましょう。一方で、内発的モチベーションをめぐるこれまでの研究や理論は、多くの人に混乱を与え…

ピーター・センゲに学ぶ「システム思考」入門(準備編)

今回は、下にリンクがある「ピーター・センゲに学ぶ「システム思考」入門」の準備編的な役割として、小田(2017)によるピーター・センゲの「学習する組織」を分かりやすく解説したシステム思考のポイントを紹介します。小田によれば、システム思考とは、現実…

組織の一体感を高めるリーダーシップが常に有効とは限らない:連合型リーダーシップの可能性

リーダーシップといえば、組織やチームのメンバーを、組織やチームの目的を実現する方向に動かしていく(動機づける)プロセスとして理解できます。そして、多くの場合、組織であればメンバーの組織との一体感を高めることの重要性がしばしば指摘されます。…

将来性の高い人材では賃金の男女格差が逆転する理由と証拠:ハイポテンシャル女性プレミアムの存在

世界において、そして日本でも特に、男女間で賃金格差が存在することはこれまで多くの調査研究で指摘されてきています。そしてこれは、企業社会における男女格差、すなわち男性優位で女性が不利益を被るような社会が持続している証拠だと考えられています。…

ピーター・センゲに学ぶ「システム思考」入門

現代は、VUCA(変動制、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代と呼ばれています。このような複雑な世の中において企業を経営したり世渡りを行っていくうえでますます注目が高まっているのが「システム思考」です。システム思考とは、対象や環境を様々な要素が結…

ハイブリッド型社会的企業の運営を可能にする「構造化された柔軟性」

ob OT

社会的企業とは、社会問題の解決を目的としたビジネスに取り組む企業を指しますが、社会問題の解決と収益を生み出すビジネスを両立させることは簡単なことではありません。SmithとBesharov (2019)は、営利企業と非営利企業の要素を併せ持つ社会的企業を、「…