2010-01-01から1年間の記事一覧

変革期における組織アイデンティティの曖昧性

近年、企業の合併および買収を始め、さまざまな形で企業にとって組織アイデンティティの変化を含む大きな変革が起こる機会が増えてきました。「私たちは何者なのか」を意味づける組織アイデンティティの変化は、組織変革プロセスにおいても重要な概念となり…

企業合併における移行的アイデンティティ理論

近年、M&A(企業の合併および買収)が盛んになり、企業に勤める従業員にとっては、自分の働いている企業が他者と合併し、新たな企業に生まれ変わるという事態も珍しくなくなりました。自働く人にとっては誰であってもその可能性が考えられるような社会になっ…

2種類のキャリアの節目

人生やキャリアには、節目があるといいます。ここで節目とは、そこで大きな変化が起こるような転機のことを指します。 このようなキャリアの節目には、2種類あると考えられます。1つ目のキャリアの節目は、社会的な制度や、人間の発達的見地から、だいたい…

仕事におけるアイデンティティ形成のメカニズム

人々にとって「私は何者であるのか」を定義することは重要です。私が何者であるのか理解できなければ、人格が分裂し、まともな生活は送れないでしょう。これを「自己同一性(アイデンティティ)」といいますが、仕事においても、私は何者であるのかという自…

ワーク・ライフ・シナジーの起こりかたに影響する個人差

仕事と家庭との間には、仕事の好不調が家庭の好不調につながる、もしくはその反対に家庭の好不調が仕事の好不調につながるというスピルオーバー(流出)効果が考えられます。例えば、仕事でうまくいかないとき、その影響が、家庭生活にも出てしまうという例…

ワーク・ライフ・シナジーのメカニズム

ワーク・ライフ・バランスという言葉が流行して久しいですが、ワークとライフをバランスさせるとはどういうことなのかが曖昧にされたまま、言葉だけが一人歩きする場合も多々あります。単に仕事と家庭をバランスさせさえすればよいのか、ということです。 そ…

ワーク・ライフ・バランスのための境界マネジメント戦術

Kreiner, Hollensbe & Sheep (2009)は、ワークとホーム(ライフ)の境界線の引き方は、人によって異なるので、そういった個人の境界の好みと周りの環境との不適合がさまざまな問題につながるという「ワーク・ホーム・インターフェース」の理論を構築しました…

ワークライフバランス論の新展開:ワーク・ホーム・インターフェース

「ワークライフバランス」あるいは「仕事と生活の調和」という概念が、近年注目を浴びてきました。ワークライフバランスという概念は、学術的にはワークファミリー・コンフリクトから発展しています。つまり、仕事と家庭との役割の不調和が、本人の心身上の…

アイデンティティ・ワークとセルフ・ナラティブ

Ibarra & Barbulescu (2010)は、自分自身のストーリーを物語る、セルフ・ナラティブは、キャリアの転換期におけるアイデンティティ・ワーク(自分とは何かについての再構築、再定義)の有効なツールであるといいます。以前の自分と、これからの自分の橋渡し…

キャリア転換に重要なアイデンティティ・ワーク

現代のビジネス社会をめぐる環境変化はますます激しくなっています。そして、働く人々は、好む好まざるに関わらず、キャリア転換を経験する頻度が高まっています。それは、自分の意志で転職をするケースや、会社内の人事異動で予想外の職場に移る場合などを…

モティベーション・プロセスにおける感情経験の直接・間接効果

人間のモティベーションを要素に分解するとするならば、(1)方向性(何を選択するのか、何を行うのか)、(2)強度(どれほどの努力を注ぎ込むのか)、(3)持続性(どれだけ維持するか)に分けることができるでしょう。 このようなモティベーションの特…

本能・理性・能力感が絡む新しいモティベーション論

Kehrは、モティベーションを、(1)潜在的動機(implicit motives)、(2)顕在的動機(implicit motives)、(3)能力感(perceived abilities)の3つの要素によって構成されるものとして考えるモデル「補償モデル(compensatory model)」を提唱しています。 潜在的動機…

テンポラル・モティベーション理論

モティベーション研究で有名な古典的な理論として、期待理論があります。期待理論は端的に言えば、努力した結果、望ましいものが手に入る主観的な確率が、その人のモティベーションの強度を決定するというものです。最近、この期待理論をサブコンポーネント…

年功的人事、成果主義的人事とフェアネス

わが国の人事管理における、伝統的な年功的運用と、近年普及した成果主義とでは、従業員と組織との交換関係(employee-organization relationshp: EOR)において異なるモードをとっており、年功的運用は、社会的交換関係(social exchange relationship)をより…

人材マネジメントの理想系

HRM

私たちは、自分のポテンシャルを最大限に発揮している状態であるとき、ある種の「至高体験」を味わうと言われています。自分のポテンシャルを最大限に出し切っている状態とは、自分の能力よりもちょっと高めの、チャレンジングな課題に立ち向かっているとき…

社会的交換理論で人事管理を読み解く

HRM

従業員と組織がお互いに与え合う交換関係(Employee-organization relationship: EOR)の理論的基盤にもなっているものに、社会的交換理論(Social exchange theory)があります。今回は、社会的交換理論でも議論される、経済的交換関係(Economic exchange relat…

成果主義へのシフトを読み解く

HRM

企業の人事管理は、従業員と組織がお互いに与え合う交換関係(Employee-organization relationship: EOR)のあり方を規定する仕組みであると考えることはいろいろと役に立ちます。 この枠組みを用いて、日本で見られた年功的人事運用から成果主義人事へのシフ…

人事管理上重要な従業員と組織との交換関係

HRM

企業の人事管理を考えるうえで重要になってくる枠組みとして、従業員と組織との交換関係があります。学術的には、Employee-organization relationship (EOR)と呼ばれます。 結局のところ、個人と組織との関係は、何かを与え合う交換関係にあるということです…

企業の人事管理と高業績人材、低業績人材の離職

HRM

アメリカのように雇用の流動化が進んでいる国では、従業員が自発的に離職する現象がよく見られます。企業としては、従業員の自発的離職が避けられないのであれば、高業績人材にはできるだけとどまってほしく、低業績人材に去ってもらうのが望ましいと考える…

Jモードという大学と仕事の関係

HRM

日本における雇用慣行は、世界的に見ても特徴的な部分がいくつかありますが、その中でも最たるものが、新卒一括採用という慣行です。「ジョブなきメンバーシップ」を基本原理とする日本企業の雇用形態では、メンバーシップの入り口となる最も重要な採用活動…

日本における正社員・非正社員の対称性

HRM

本田(2009)や濱口(2009)は、日本の労働市場では、正社員と非正社員の世界が、相対立する原理によって成り立っているという点を指摘します。それは、正社員が「ジョブなきメンバーシップ」を原理とする雇用であるのに対し、非正社員が「メンバーシップなきジ…

日本的処遇・労使関係の特徴

HRM

濱口(2009)によれば、日本的雇用慣行の世界的に見た大きな特徴は、職務と結びついた雇用ではなく、組織へのメンバーシップ雇用でした。たとえば、採用でももっとも重要な「新卒採用」の場合、職務を特定したうえで定員を設定するのではなく、組織内のいかな…

日本的雇用形態の本質

HRM

日本企業、とくに大企業の人事管理の他国と比較した場合の大きな特徴などのようなところにあるのでしょうか。それに関して、濱口(2009)は、日本企業における正社員を対象とする人事管理の特徴として、「ジョブなきメンバーシップ」の雇用形態を挙げています…

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