fairness

女性活躍推進が簡単には進まないメカニズム

日本の企業社会はかつてから男性社会だと言われ、ジェンダーギャップ指数においても世界中で最下層グループに属するなど、社会的に重要なジェンダー平等については不名誉な立場にあります。その挽回の狙いも含め、女性活躍推進の動きは加速しつつあるように…

なぜ成果主義賃金を好む国と嫌う国があるのか:鍵となる「公正世界信念」

以前、わが国の人事の世界では「成果主義ブーム」が起こりました。年功的な賃金運用への批判から、高い成果をあげた社員には高い給料で報いるという方針を基本とする成果主義賃金の導入を進めようとする動きが全国的に広がったのです。しかし、このような「…

フェア・マネジメントと信頼との関係:「第一印象」にご用心

フェア・マネジメントにおいて重要な概念であるのが「信頼」や「信頼感」です。学術的にいうと、「信頼」とは「相手が自分を裏切らないことを信じて、自分の弱みをさらけだそうとすること」で、「信頼感」とは「相手が信頼するに足る対象であると感じること…

「包摂風土」の醸成が人材のダイバーシティを活かす

近年、人材のダイバーシティ・マネジメントの重要性がますます高まっています。ダイバーシティ・マネジメントの要諦は、性別、人種、国籍、文化などが異なる多様な人材を採用し、それに伴う多様性(ダイバーシティ)を、企業の強みに変換することです。ダイ…

世界で戦うリーダーを育てるためにはフェア・マネジメントが必須である

グローバル化が進展する世界で日本企業が戦っていくためには、グローバルに活躍できるリーダーの存在が欠かせません。しかし、LIXILグループ社長の藤森氏は、日本経済新聞社のウェブコラムにおいて、日本がかつてのような勢いを取り戻すには企業や組織に世界…

組織的公正の神経科学

組織において人々を公平に扱うことの重要性を前提にするのが、フェア・マネジメントであり、私たちは日頃、公正であること、公平であることを非常に重視しているといえます。そして、公正感および公平・不公平に対する反応は、私たちが成長の過程で後天的に…

神経科学が明らかにした2つの「不公平感」の違い

組織行動論における組織的公正研究では、従業員が感じる公正感(フェアネス)には複数の次元があることを指摘してきました。そのうち、とりわけよく研究されてきたのが、分配的公正(結果が公正か否か)と手続き的公正(結果に至るプロセスが公正化か否か)…

上司に対してキレる部下の心理メカニズム

仕事をしていくうえで、上司は特別な存在です。職務上、上司は部下に対して命令する権限を有していますし、部下の昇進や給与、雇用についての決定を行う強い権限を有している場合もあります。したがって、一般的には、上司に何か意見をいったり批判をしたり…

企業同士の対等合併においてフェアネスとは何を意味するのか

フェア・マネジメントが重要になってくる場面の一つに、いわゆるM&A(合併および買収)があります。特に、日本の場合、銀行業界、保険業界、鉄鋼業界など、業界再編などに伴って同業の企業同士が合併するさいには、対等合併となるケースが多く見られます…

お客様からの理不尽な扱いに従業員はどう反応するのか(2)

「お客様からの理不尽な扱いに従業員はどう反応するのか(1)」において、従業員の共感(パースペクティブテーキング、相手の立場に立って考えること)の能力が高いと、顧客からの不当な対応にともなう悪影響が和らぐ可能性についての研究を紹介しました。 htt…

お客様からの理不尽な扱いに従業員はどう反応するのか(1)

組織の従業員を尊重し、公正かつ丁寧に扱おうとするのがフェア・マネジメントの基本ですが、従業員は組織のメンバー以外からも、フェア・アンフェアな扱いを受けます。その代表例が、サービス業における従業員が顧客から受ける扱いです。顧客対応を伴う業務…

上司が特定の部下のみに対して侮辱的管理を行うのは何故か

上司が突然部下を罵倒したり、人前で辱めたり、非物理的なかたちで敵意をあらわにするような行動を繰り返す侮辱的管理(abusive supervision)は、職場で頻繁に観察されるというわけではありませんが、特定の割合で発生していると考えられ、侮辱的管理の犠牲と…

フェア・マネジメントの失敗は、マネジャーの侮辱的管理を通じて組織内に蔓延する

組織の従業員を尊重し、公正にに扱うことを理念とするのがフェア・マネジメントです。組織がこの「フェア・マネジメント」を怠ると、どのような問題が組織内の生じるでしょうか。その1つが、組織のマネジャーによる部下への「侮辱的管理(abusive supervisio…

マネジャーによる部下への侮辱的管理はいかなるメカニズムで生じるのか

職階上の上司が直属の部下に対して大声で罵倒したり、人前で辱めたり、嫌がらせをするような行動を、侮辱的管理(abusive supervision)と呼びます。学術的には「上司が継続的に非物理的な敵対行動をとっていると部下に知覚されるような管理形態」であると定義…

フェア・マネジメントの指針にも影響する従業員のフェアネス監視行動

企業が従業員に対する公正(フェア)な処遇を実現しようとするフェア・マネジメントにおいて大切なのは、従業員の態度や行動に影響を及ぼすのは、客観的にフェアかどうかではなく、本人がそれをフェアだと知覚しているかどうかということです。そもそも、誰…

人事のプロが語る「フェア・マネジメント」

労務行政研究所(編) (2011)では、人事のプロから働く人たちへの時代を生き抜くメッセージが収録されています。その中から、「フェア・マネジメント」に関するコメントを紹介したいと思います。 ソニーの元人事部統括部長の桐原氏は、ずっと「フェアネス(公…

フェア・マネジメントの方法

日本の会社が戦略や人事改革、組織改革などで思い切った手を打てないのは、フェアネスに関する危惧からだと思います。思い切った手を打つ場合、従業員すべてにとってポジティブな結果を生む保障はありません。場合によっては、特定の従業員にとって残念な結…

フェア・マネジメントのススメ

スポーツの世界でもっとも大切なことの1つは、フェア・プレーの精神です。フェア・プレーなくしては、スポーツを行う選手も、それを観戦する人も、スポーツを楽しみ、それによって幸福な気分になることなどできません。スポーツマンシップとしてフェアであ…

年功的人事、成果主義的人事とフェアネス

わが国の人事管理における、伝統的な年功的運用と、近年普及した成果主義とでは、従業員と組織との交換関係(employee-organization relationshp: EOR)において異なるモードをとっており、年功的運用は、社会的交換関係(social exchange relationship)をより…