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なぜダイバーシティ推進策が意図せざる結果を生み出してしまうのか

昨今、多くの企業が、自社組織のDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を促進するためのダイバーシティ推進策を実施しています。ダイバーシティ推進策が狙いとするところは、企業におけるマイノリティ従業員(女性や少数人種、少数民族など…

女性活躍推進が簡単には進まないメカニズム

日本の企業社会はかつてから男性社会だと言われ、ジェンダーギャップ指数においても世界中で最下層グループに属するなど、社会的に重要なジェンダー平等については不名誉な立場にあります。その挽回の狙いも含め、女性活躍推進の動きは加速しつつあるように…

AIの活用は従業員の創造性を高めるか

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近年の急速なAIの発展とともに、将来AIが人間の仕事を奪っていくのか、それとも、AIと人間はお互いに協力していくようになるのかなど、さまざまな議論がなされています。そのような問いの1つに「AIを活用していくことによって従業員の創造性(クリエイティ…

心理的安全性が高いと業績を悪化させる危険性:それを防ぐ条件は?

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近年、心理的安全性というコンセプトが一世を風靡し、数多くの企業が職場の心理的安全性を高める施策について頭を巡らせています。心理的安全性は、一般的には「自分の思った通り発言したり行動しても危険が及ばない(安全な)チームの風土」というように定…

戦略・事業・人材を連動させる組織能力開発とは

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)を初めとして、時代が大きく変化していく中で生き残っていくために組織を変革させていく必要性が高まっています。そこで欠かせない視点が、経営戦略・事業戦略・人材戦略の連動であり、それを実現するための組…

内発的モチベーション理論の新展開:目的ー手段融合モデルの革新性

ワーク・モチベーションの中でも、特に「内発的モチベーション」は、多くの研究者や実務家がその重要性を認識しているがゆえに、最も白熱するトピックだと言えましょう。一方で、内発的モチベーションをめぐるこれまでの研究や理論は、多くの人に混乱を与え…

組織の一体感を高めるリーダーシップが常に有効とは限らない:連合型リーダーシップの可能性

リーダーシップといえば、組織やチームのメンバーを、組織やチームの目的を実現する方向に動かしていく(動機づける)プロセスとして理解できます。そして、多くの場合、組織であればメンバーの組織との一体感を高めることの重要性がしばしば指摘されます。…

将来性の高い人材では賃金の男女格差が逆転する理由と証拠:ハイポテンシャル女性プレミアムの存在

世界において、そして日本でも特に、男女間で賃金格差が存在することはこれまで多くの調査研究で指摘されてきています。そしてこれは、企業社会における男女格差、すなわち男性優位で女性が不利益を被るような社会が持続している証拠だと考えられています。…

ハイブリッド型社会的企業の運営を可能にする「構造化された柔軟性」

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社会的企業とは、社会問題の解決を目的としたビジネスに取り組む企業を指しますが、社会問題の解決と収益を生み出すビジネスを両立させることは簡単なことではありません。SmithとBesharov (2019)は、営利企業と非営利企業の要素を併せ持つ社会的企業を、「…

論語から学ぶ日本的組織経営

日本の組織経営は世界から見てもユニークな点が多くあります。そして、それが戦後の日本の高度成長を支えてきたともいえるし、その後の失われた30年といった低空飛行の原因となっているともいえましょう。それに関して守屋(2020)は、日本においては、論語…

パーパスなき求心力・忠誠心を武器にしていた日本企業

近年、流行が広がりつつある「パーパス経営」。これは、社会における企業の究極の存在価値を基軸に経営を進めていこうとする思想ですが、これはもともとはジョブ型雇用を前提とする欧米企業のためにつくられた、極めて合理的な発想に基づいているといえます…

コミュニケーション能力(コミュ力)という考え方が無効である理由

私たちが普段何気なく使う言葉に「能力」があります。仕事ができる従業員は、能力が高いからだと考えます。どのような能力が重要なのかといえば、例えば、採用場面では、「論理的思考力」や「コミュニケーション能力」が重視されるということが良く言われま…

異なる価値観を持つメンバーを束ねて組織の一体感を作り出す方法

パーパス経営を実践していくうえでカギとなるのが、組織メンバー全体に組織のパーパス、理念、ミッションなどが浸透し、組織メンバーが一丸となってその実現にむけて情熱を傾けられるような一体感、連帯感、帰属意識を醸成し、維持することだと考えられます…

パーパス経営を成功させる経営指標とはどんなものか

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組織マネジメントの観点から見た場合にパーパス経営の成否を握るのは、組織で働く人々がそのパーパスを自分ごととして捉えてその実現に向けたモチベーションを高めることができるか否かだと言えましょう。そして、それが可能となる条件は、企業のパーパスや…

「パーパス経営」+「やってみせるリーダーシップ」の威力

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日本では有名な山本五十六の言葉に「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」というものがあります。これはリーダーシップの本質を捉えていると思われますが、特に、最初に始まる「やってみせる」ことが重要であることに異を…

TEDで学ぶ組織行動論(22)アダム・グラント 「「与える人」と「奪う人」—あなたはどっち?」(日本語字幕付き)

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

TEDで学ぶ組織行動論(21)エイミー・エドモンドソン 「他人同士の集まりをチームに変える方法」(日本語字幕付き)

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

TEDで学ぶ組織行動論(20)リンダ・ヒル 「集団の創造性をマネジメントする」(日本語字幕付き)

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

ケネディ大統領のリーダーシップとNASAから学ぶパーパス経営

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「なぜ私たちの企業は存在するのか」といった企業の存在意義を中心とした経営を行う「パーパス経営」が注目を集めています。企業のメンバー全員が一体となって企業の究極的な目的であるパーパスの実現に向けて力を結集できるならば、それが企業の長期的な成…

パーパス経営その2:経営トップのビジョン形成力を阻害する要因をどう克服できるか

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近年注目が集まっている「パーパス経営」を実践していくうえで経営トップに求められる重要な役割が、企業のパーパスを従業員に明確に伝え、共有を促し、その実現に向けて組織内のあらゆる勢力を結集させるよう導くことです。その際に必要不可欠なのが、トッ…

「パーパス経営」を成功させるトップのビジョン形成力とは

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近年、企業の存在意義といった目的(パーパス)を基軸とする「パーパス経営」への注目が高まっています。これはまさに、なぜ企業が存在するのかや企業経営の本質とは何かを言い当てるような思想であり、至極まっとうな考え方であるといえましょう。しかしな…

アジア系アメリカ人が企業業績の衰退時にリーダーに選ばれやすいのはなぜか

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アメリカ合衆国のビジネス社会における企業のトップマネジメント職位の大半を占めているのは白人男性です。これはこの国の歴史的背景や社会的特徴を考えれば容易に理解できます。一方、アジア系アメリカ人は、アメリカ国内でも平均的に見て学歴や収入が高い…

上司から嫉妬されたらパワハラの犠牲者になってしまうのか

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古くからあることわざに「能ある鷹は爪を隠す」というものがあります。「出る杭は打たれる」といったように、能力があることによって目立ったり嫉妬の対象となることで攻撃されることをあらかじめ防ぐための処世術の一種だと考えられます。しかし、能力がな…

「謙虚なリーダーシップ」がチームの「こころの資本」を育む

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以前本ブログで紹介した「心理資本(または心理的資本)」の翻訳版「こころの資本」が出版されました。日本でも心理的資本の重要性と有用性の理解が加速度的に高まることを期待します。過去のエントリーで復習しますと、心理的資本とは「以下の4つの特徴を持…

スピードが求められる時代でも「先延ばし」が有効な理由(わけ)

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変化の激しい現代のビジネス社会はスピードが求められる時代です。ビジネスや仕事でぐずぐず、もたもたすること、先延ばしすることは、ライバルに先を越されるわ、仕事の能率は下がるわで、百害あって一利なしと考える人が多いのかもしれません。みなさんも…

ジョブ・クラフティングの解剖学ーより深い理解のために

近年、組織や働き方の変化に伴い、ジョブ・クラフティングという概念への注目が高まっています。ジョブ・クラフティングとは、従業員が自らが担当する職務をより良いものに改善するプロセスを指し、従業員が主体的に行うジョブ・デザインとも言えます。これ…

内発的モチベーションの副作用にご用心

内発的モチベーションとは、何か別の目的のためではなく、それをすること自体を目的として何かを行おうとするモチベーションを指し、報酬のようなものに引っ張られるのではなく、それをすることが面白いから、楽しいから行うという側面が強いモチベーション…

なぜ戦略コンサルティングファームは超長時間労働から抜け出せなくなってしまったのか

戦略コンサルティングファームは、学部生や大学院生(MBAなど)の間で特に人気の就職先の1つだと言われています。しかし同時に、戦略コンサルティングファームは、一般では考えられないほど長時間働く職場であるという話も広がっています。近年、日本でも「…

人事組織に対する経済学的アプローチはほんとうに役に立つのか

経営学の分野でもとりわけ生身の人間を扱う組織行動論や人的資源管理論は、ベースとして心理学や社会心理学を用いる研究が支配的です。より人間関係に焦点を当てた社会学的アプローチも見られます。その理由としては、心理学や社会心理学は、人間の認知、感…

リーダーの物理的な立ち位置に文化差はあるのか

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リーダーやリーダーシップには、牽引するという意味合いがあるため、とりわけ西洋的な発想だと、リーダーとは集団の先頭に立ち、集団を率いる人だというイメージがあることでしょう。しかし、Menon, Sim,Fu, Chiu, & Hong (2010)は、アジアなどでは、集団を…