2012-01-01から1年間の記事一覧

自分と組織との「適度な距離感」を保つ方法

日本の企業では「辞令1本でどこにでも行く」というような正社員としての働き方が従来から多くなされてきました。会社に自分自身を完全に一体化させ会社に忠誠を尽くす生き方・働き方が肯定されてきたのかもしれません。しかし近年では、私たちが会社などで…

ブラック企業による「カウンセリング・アウト」とは

外資系企業でよく聞く言葉に「アップ・オア・アウト」というのがあります。これは、昇進できなければ退職しないといけないというような仕組みを指します。それに対して、いわゆるブラック企業の1つで行われている「カウンセリング・アウト」という仕組みが…

上司に対してキレる部下の心理メカニズム

仕事をしていくうえで、上司は特別な存在です。職務上、上司は部下に対して命令する権限を有していますし、部下の昇進や給与、雇用についての決定を行う強い権限を有している場合もあります。したがって、一般的には、上司に何か意見をいったり批判をしたり…

企業同士の対等合併においてフェアネスとは何を意味するのか

フェア・マネジメントが重要になってくる場面の一つに、いわゆるM&A(合併および買収)があります。特に、日本の場合、銀行業界、保険業界、鉄鋼業界など、業界再編などに伴って同業の企業同士が合併するさいには、対等合併となるケースが多く見られます…

お客様からの理不尽な扱いに従業員はどう反応するのか(2)

「お客様からの理不尽な扱いに従業員はどう反応するのか(1)」において、従業員の共感(パースペクティブテーキング、相手の立場に立って考えること)の能力が高いと、顧客からの不当な対応にともなう悪影響が和らぐ可能性についての研究を紹介しました。 htt…

お客様からの理不尽な扱いに従業員はどう反応するのか(1)

組織の従業員を尊重し、公正かつ丁寧に扱おうとするのがフェア・マネジメントの基本ですが、従業員は組織のメンバー以外からも、フェア・アンフェアな扱いを受けます。その代表例が、サービス業における従業員が顧客から受ける扱いです。顧客対応を伴う業務…

フェイスブックに学ぶ人材マネジメント

ソーシャルメディアの時代となり、SNS(Social Networking Sites)が一般化し、わが国でもmixiやtwitterやfacebookなどのSNSが急速に会員数を増やし、日頃のコミュニケーションツールとして使われています。今回は、フェイスブックを例にとり、多くの人々がフ…

なぜ海外赴任経験者は会社を辞めやすいのか

グローバル化が急速に進展する中、企業にとって海外赴任社員が果たす役割の重要性は日に日に高まっています。しかし、現地にうまく適応し、現地で活躍してくれる海外派遣人材ほど、赴任期間を終了して帰国したあとに会社を辞めてしまうリスクが高まっている…

人事を行う日本の人事部、人事を助ける外資系の人事部

ビジネスの世界で通説としてあるのが「日本企業では人事部の社内での権力が強く、外資系企業では人事部の社内での権力は弱い」というものです。日本ではしばしば人事部に配属になることは「花形」であり「出世コース」の1つだと言われることもあります。実…

組織アイデンティフィケーション:人は2つの組織に同時に同一化できるのか

組織アイデンティフィケーション(組織への同一化)とは、従業員が、所属する組織との間に感じる一体感や帰属意識で、組織の一員としての自分を定義づけるような傾向を指します。簡単に言えば「組織との一体感」「組織への帰属意識」です。 人々は、所属する…

上司が特定の部下のみに対して侮辱的管理を行うのは何故か

上司が突然部下を罵倒したり、人前で辱めたり、非物理的なかたちで敵意をあらわにするような行動を繰り返す侮辱的管理(abusive supervision)は、職場で頻繁に観察されるというわけではありませんが、特定の割合で発生していると考えられ、侮辱的管理の犠牲と…

フェア・マネジメントの失敗は、マネジャーの侮辱的管理を通じて組織内に蔓延する

組織の従業員を尊重し、公正にに扱うことを理念とするのがフェア・マネジメントです。組織がこの「フェア・マネジメント」を怠ると、どのような問題が組織内の生じるでしょうか。その1つが、組織のマネジャーによる部下への「侮辱的管理(abusive supervisio…

マネジャーによる部下への侮辱的管理はいかなるメカニズムで生じるのか

職階上の上司が直属の部下に対して大声で罵倒したり、人前で辱めたり、嫌がらせをするような行動を、侮辱的管理(abusive supervision)と呼びます。学術的には「上司が継続的に非物理的な敵対行動をとっていると部下に知覚されるような管理形態」であると定義…

真の戦略的人材マネジメントとは何か:ピボタル分析の事例

HRM

企業の戦略目標とは、他社との戦いに勝利しながら、持続的に企業目標を実現していくための基本方針だと考えられます。企業の戦略目標を人材面からサポートするのが、戦略的人材マネジメントです。しかし、「戦略的」という言葉が多分に心地よいものであるた…

クリエイティブな活動はどれだけ業績に貢献するのか

ob cr

現代の仕事、とりわけ高度で複雑な仕事になってくると、クリエイティビティ(創造性)が重要になってきます。クリエイティビティを発揮するためには、クリエイティブな活動が必要になってきます。では、クリエイティブな活動をしていれば、それがそのまま仕…

クリエイティビティの「感情シフト」と不死鳥モデル

ob cr

感情やムードはクリエイティビティに深く関与していると考えられています。一般的には、ポジティブなムードがクリエイティビティを高めると考えられていますが、そう単純な話でもありません。むしろ、クリエイティビティにはもっと幅広い感情経験が関与する…

感情はクリエイティビティにどう影響するか

ob cr

ビジネスや経営においては、新しい製品や新たな仕組みを生み出す「クリエイティビティ(創造性)」がより重要になってきています。研究者やクリエイターのような明らかにクリエイティビティが業績に直結するような職業でなくても、日々の業務において創意工…

組織アイデンティティはどのようにして形成されるのか

私たち1人ひとりにとって「自分はいったい何者なのか」という問いへの答えとなる「アイデンティティ(自我同一性)」は、生きていくうえでもっとも根本的かつ重要なものであると同様に、組織にとっても「私たちはいったい何者なのか」という問いへの答えと…

会社への帰属意識の醸成に最初の上司が重要なワケ

会社に入社する新人にとって、その会社に自分自身をどれだけ帰属させるか、あるいは組織と自分自身を同一化(アイデンティフィケーション)するかは、その会社で長期間にわたって仕事をしていくうえで重要な役割を果たします。自分自身のアイデンティティに…

流行する経営手法はどのように変容していくのか

ot

現代のビジネス社会では、新しい経営手法が提案され、それがブームとなると多くの企業がそれを導入することで普及していきます。しかし、新しい経営が流行し、ビジネス社会で普及していくに従って、その手法の形がどんどん変容し、オリジナルなものとは異な…

成果主義はうまくいったのか

HRM

1990年代後半から2000年代前半にかけて、わが国の人事制度改革の主役となったのが「成果主義」です。多くの企業が年功的な人事制度を改めて成果主義を導入するというニュースが日本中を駆け巡るほどブームとなり、ブームの後半には、成果主義反対論や成果主…

言語表現のレトリックが新しい経営手法の流行を左右する

ot

ビジネス社会では、さまざまな経営手法が生み出され、広がっては衰退していくというプロセスを繰り返します。ある経営手法が急激なブームとなって普及し、その後急速に熱が冷め廃れていくような場合もあれば、別の経営手法がゆっくりとしかし確実なかたちで…

戦略的組織プラクティスとは何か

ot

戦略的組織プラクティスとは、企業にとってのコア・コンピタンスや競争優位性を規定する戦略的重要性をもつ経営施策(プラクティス)のことを指します。それゆえ、競合他社との差別化がなされているもの、他社に真似されにくいものといった特徴を持っていま…

多国籍企業の海外拠点における人材マネジメントはどうあるべきか

経済のグローバル化の進展にともない、わが国での多くの企業が海外に拠点を設けるようになり、いわゆる多国籍企業になってきました。多国籍企業経営の難しいところは、制度的・文化的環境の異なる国々を跨いだかたちで、企業としてのグローバルな事業を円滑…

ストーリーとアイデンティティが織りなす新たな組織形態の形成プロセス

組織アイデンティティは、組織として「私たちはいったい誰(何)なのか」という問いに答えるものとして理解できます。ですが、従来の組織アイデンティティの研究は、暗黙のうちに、当該組織がすでに存在するものとして、その組織のアイデンティティの特徴を…

クリエイティブ精神の本質

ob cr

フロリダ(2008)は、クリエイティビティ(創造性)は究極の経済資源であり、経済成長の原動力であるといいます。クリエイティビティは生産性を向上させ、生活水準を向上させる。とりわけ、科学者、技術者、建築家、デザイナー、作家、芸術家、音楽家、あるい…

グローバル本社と日本本社

近年、日本企業のグローバル化が急務となっていますが、なかなか真のグローバル企業に脱皮できない日本企業が多いという話をよく耳にします。経営は依然として日本人社員が中心で、日本語で行われ、日本的な経営から脱却できないというような話です。そして…

地球規模での会社経営に必要な人材マネジメント

チュルパンと高津(2012)は、グローバル経営すなわち「地球規模での会社経営」で必要なのは、「地球規模の幅広い視野を持ち、長期的に事業を構想する力」と、「文化や言語を超えてその構想を実現するマネジメント力」だといいます。そして残念ながら日本企業…

日本的経営の原型は天皇制にあるのか

日本的経営といっても様々な要素がありますが、その中でもいわゆる「みこし経営」について考えてみましょう。欧米における企業経営がトップダウンなのに対し、日本企業はボトムアップであるといわれることがあります。別の言い方をすれば、日本企業の経営ト…

失業中の再就職活動におけるモチベーションとメンタルヘルス

失業中の再就職活動というのは、一般的には精神的に辛いプロセスでありましょう。厳しい状況で職探しをするためのモチベーションの維持が大切ですし、財政的にも苦しい中での焦りも出てくることから、メンタルヘルスの面で危機的状況に陥る可能性もあります…