2013-01-01から1年間の記事一覧

組織で働く多文化人材はどのような特徴をもち、いかなるかたちで組織に貢献するのか

世界がグローバル化するにつれ、企業で働く人々の中に、同一国で生まれ育った典型的な人々に加え、複数の文化的背景を持った多文化人材(multicultural employees)が増えるようになりました。例えば、他の国から移民してきた人材、海外赴任などで長期間他国に…

世界で戦うリーダーを育てるためにはフェア・マネジメントが必須である

グローバル化が進展する世界で日本企業が戦っていくためには、グローバルに活躍できるリーダーの存在が欠かせません。しかし、LIXILグループ社長の藤森氏は、日本経済新聞社のウェブコラムにおいて、日本がかつてのような勢いを取り戻すには企業や組織に世界…

明治維新のリーダーシップと柔構造組織

リーダーシップや組織を語る上でしばしば議論になるのは、日本の強みを生かしたリーダーシップや組織とは何かという視点です。確かに、個が強い欧米の「肉食系」のリーダーシップに脚光が当たりがちな反面、日本のリーダーシップや組織が軟弱に見えますが、…

「ニッポン株式会社モデル」からの脱却

日本的経営、日本的雇用慣行の成功と限界、そして弊害が指摘されるようになってからずいぶんと時間が経ちました。しかし、わが国の企業は、いまだに新たな経営、新たな人的資源管理のあり方を打ち出せずにいるようです。ネスレ日本のトップである高岡(2013)…

グローバル化は人材育成の絶好のチャンスである

日本企業の経営において「従業員の雇用の安定」は大きな比重を占めてきたといえましょう。例えば、日本におけるグループ企業経営では、純粋な事業目的において多くのグループ会社を傘下に持つことに加え、社内の従業員の雇用安定のための受け皿としてグルー…

ブラック企業現象を生み出す土壌となった日本的雇用システム

近年、 労働者を酷使・選別し、使い捨てにする「ブラック企業」の存在が社会問題化しています。しかし、濱口(2013)によれば、ブラック企業現象は、本来は日本の競争力を支えてきたと考えられる雇用システムが土壌となって生み出されてきた、ある意味「日本特…

日本における解雇規制の論理

日本は、正社員の解雇規制が厳しい国と言われています。企業が、いったん雇った正社員を簡単に解雇することに対しては強い規制が敷かれているために、正社員を簡単に解雇できる社会にはなっていないということです。解雇規制の緩和をめぐる論議もなされてい…

TEDで学ぶ組織行動論(9) ダン・アリエリー 「我々は本当に自分で決めているのか?」(日本語字幕付き)

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

TEDで学ぶ組織行動論(8) ティナ・シーリグ 「18分で学ぶクリエイティビティ」

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

TEDで学ぶ組織行動論(6) トム・ウージェック 「塔を建て、チームを作る」(日本語字幕付き)

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TEDで学ぶ組織行動論(5) ショーン・エイカー 「幸福と成功の意外な関係」(日本語字幕付き)

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

TEDで学ぶ組織行動論(4) アンソニー・ロビンズ 「何が人を動かすのか」(日本語字幕付き)

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

TEDで学ぶ組織行動論(3) サイモン・シネック 「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」(日本語字幕付き)

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

TEDで学ぶ組織行動論(2) ダン・アリエリー 「仕事のやりがいとは何か?」(日本語字幕付き)

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

TEDで学ぶ組織行動論(1) ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」(日本語字幕付き)

TED Conferenceとは、TED(Technology Entertainment Design)が主催している講演会で、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう場です。講演会の内容はインターネット上で無料で動画配信されており、多くの著名…

「人はなぜ働くのか」に迫る目的職務行動理論

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働く人々にとって「なぜ働くのか」あるいは「働く目的」は重要なテーマです。なぜなら、それは、「どんな仕事にやりがいを感じるのか」や「働くことの意味」に関わるテーマであり、仕事へのモチベーションの根本的な要因になりうるからです。また「働きがい…

「オペレーションのグローバル化」から「マネジメントのグローバル化」へ

「グローバル人材」や「人事のグローバル化」といった、グローバル経営に関するトピックが2010年ごろから頻繁に叫ばれるようになりました。しかし、日本はもともと加工貿易国であり、海外市場なしには存在しえない企業も多かったはずです。さらに、円高の進…

日本企業のグローバル化の鍵は「空気が読める」外国人社員を育成することか

近年、グローバル化の波はとどまるところを知らず、日本企業も、人材のグローバル化、海外進出拠点経営の現地化、外国人従業員の採用、英語公用語化への議論など、人材マネジメントのグローバル化への対応に追われています。日本全体でも「グローバル人材」…

伝説のサービスを生み出すために人材リスクマネジメントを行おう

「ビジネスパートナー」というのが人事部に求められる役割の1つになりつつあります。現代においては、人事部はもはや労務管理のみを行う部署ではありません。企業のビジネスそのものの業績向上にインパクトを与える部門であるべきだという意味です。そのた…

権力を得ることのほうがリーダーシップを身につけることよりも重要なワケ

著名な経営者の書いたリーダーシップの本はよく売れるし、経営学においてもリーダーシップのトピックはもてはやされます。多くの人がビジネスで成功するためにリーダーシップ能力を身につけたいと思うことでしょう。しかし、フェファー(2011)は、こうしたリ…

様々なステークホルダーと話ができる人事部を目指そう

企業の人事部の役割、そして人事部員に求められる能力とは何でしょうか。Ulrichら(2009)は、その1つの答えとして、企業を取り巻くステークホルダー(利害関係者)に対して胸を張って対応できることの重要性を示唆します。企業の人事部門は、企業の人材マネ…

日本の人事部はどう発展してきたのか

経営のグローバル化など環境が変化する中、日本企業の人事部の存在意義と役割が問われています。とりわけ、終身雇用、年功序列、企業内労働組合のように世界的に見ても特徴的な雇用システムを持つ日本企業が、経営をグローバル化させ、国境をまたぐかたちで…

戦略的人材セグメンテーションのススメ

企業が抱える人材をタイプ別に分類して異なる人材マネジメントを行うという考え方は決して新しいものではありません。わが国でも1995年には日経連が「雇用ポートフォリオ論」を発表し、総合職、基幹正社員のような「長期蓄積能力活用型グループ」、専門職な…

仕事で負荷がかかることはクリエイティビティにどう影響するか

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ビジネスの世界ではグローバル規模での競争が激化し、従業員がクリエイティビティを発揮し、イノベーションが起こることが競争に勝ち抜くために益々重要になりつつあります。同時にそれは、従業員に対してクリエイティビティやイノベーションへのプレッシャ…

組織的公正の神経科学

組織において人々を公平に扱うことの重要性を前提にするのが、フェア・マネジメントであり、私たちは日頃、公正であること、公平であることを非常に重視しているといえます。そして、公正感および公平・不公平に対する反応は、私たちが成長の過程で後天的に…

神経科学が明らかにした2つの「不公平感」の違い

組織行動論における組織的公正研究では、従業員が感じる公正感(フェアネス)には複数の次元があることを指摘してきました。そのうち、とりわけよく研究されてきたのが、分配的公正(結果が公正か否か)と手続き的公正(結果に至るプロセスが公正化か否か)…

巨大なムラ社会的グローバル企業としてのトヨタ

日本の企業はムラ社会的で、共同体的であるという指摘をしばしば耳にします。島田(2013)も、現在の日本は企業社会であり、日本企業が近代社会の担い手となってきたのであり、そのことが日本の経済的豊かさを支えていることを示唆しています。そういう意味で…

組織アイデンティティが脅威にさらされたとき、組織文化が果たす役割とは

「自分たちはどんな組織なのか」という組織アイデンティティは、環境の変化とともに脅威を受ける場合があります。例えば、ユニークな商品やサービスを提供するなど、他社と異なっていること(差別化)は、その会社の組織アイデンティティの重要な源泉でしょ…

最強のビジョナリー・カンパニーをつくる方法

わが国でも「ビジョナリー・カンパニー」という本がベストセラーとなり、企業が「ビジョナリー」であることへの関心は高いと思われます。今回紹介するのは、この一連の書籍の著者の話ではなく、科学的証拠(エビデンス)に基づいた経営(エビデンス・ベースト…

組織アイデンティティ喪失の危機をどう乗り越えるか

「私たちの組織はいったい何者か」という基本的な問いの答えでもある組織アイデンティティは、通常、「組織メンバーが自分たちの組織に対して知覚している、中心的、持続的、独自的(central, enduring and distinctive)な属性」(Albert & Whetten, 1985)とい…