私たちの多くは、仕事、キャリア、人生において、才能、努力、粘り強さといった個人の資質が成功のカギになると信じていますが、成功は常に、個人の資質では説明できない要素も関係しているとトレントン (2025)は指摘します。それが何かといえば「運」です。…
日本の人事界隈では、働き方改革を経て「ジョブ型」への移行が声高に叫ばれてきました。これは、勤務地、職務、労働時間を限定しないで働く「無限定正社員」あるいは「総合職」が主たる戦力である「メンバーシップ型雇用」からの脱却を目指し、これまで集団…
ジェンダーステレオタイプに起因するジェンダーバイアスは、女性のキャリア上の昇進や給与、仕事など多くの側面においてネガティブな影響を与えます。今回紹介するBrands & Kilduff (2025)の理論論文は、ジェンダーバイアスが女性に与える影響が、対象となる…
人々にとって「私は何ものであるか」という問いに対する答えを示すのが「アイデンティティ」であり、個人の仕事やキャリアにおいて、アイデンティティは、仕事への情熱、モチベーション、組織へのコミットメントなどの駆動要因となるなど、重要な役割を担い…
両利きの経営というと、通常は、新規事業の「探索」と既存事業の「深化」の両立という文脈で語られることが多いでしょう。しかし、お互いに対立する要素の両方を追求するという意味で両利きの経営を捉えるならば、探索と深化以外にもいろいろと考えられます…
近年、日本ではキャリア自律の重要性への注目が高まっています。キャリア自律を一言でいうと、会社に依存することなく主体的に自分のキャリアを切り開いていこうとする姿勢を指します。企業から見れば、言われたことはちゃんとやるが指示待ちで会社にぶら下…
組織が持続的に発展するためには、新たな機会を見つけ出して新事業を創造することが求められます。起業家もスタートアップなどを通して新たなビジネスを創造することで成功を追求します。新事業の創造においては、未来の姿を予測し、勝ち筋を見つけ出し、そ…
組織の日々の活動を支えているのが、ルーチン(繰り返し)活動であり、ルーチンとは、組織がタスクやサブユニット間の調整に用いる定型的で予測可能な行動パターンとして定義されます。従来は、このルーチンに機械やITによる自動化を導入することで、より効…
企業は、事業活動において商品やサービスを市場を通して顧客に提供することで利益を獲得し、それによって持続的に発展します。そこでは、安定的に事業活動を行うためのルーチンを確立して維持することが大事であると同時に、日々生じる問題や課題に対処する…
組織の大きな特徴の1つとして、物事や行為を安定的に繰り返すルーチンを有しているというものがあり、組織は、様々なルーチンを組み合わせることで業務を推進し、顧客に商品やサービスを提供したりします。そして、環境変化などに応じてこのルーチンを変化…
デジタル技術の発達に伴う今の時代は第4次産業革命の真っただ中であると言われていますが、その主役の座を占めるのが間違いなく人工知能(AI)でしょう。現在著しい発展を遂げつつあるAIがこれまでと違うのは、AIが自分自身で学習をし、主に認知的な業務を…
私は何者なのかを問う自己のアイデンティティは、人が生きていく意味づけを行ううえでたいへん重要な概念です。そして、仕事をする上ではとりわけ「私は職業人として何者なのか」というキャリア・アイデンティティが重要です。キャリア・アイデンティティ如…
これまでの経営学研究では、女性のキャリアを阻む障害として「ガラスの天井」「ガラスの崖」「ガラスのエスカレーター」などが特定されてきました。ガラスの天井は、女性が管理職やリーダーに昇進するのを阻む天井を指し、ガラスの崖は、組織が危機に陥ると…
ファイラー(2024)は、私たちが生きている時代の特徴は、自らの人生が予測できないこと、つまり、線形ではなく非線形で、日を追うごとにますますその傾向は強まっていると言います。ただ、紆余曲折が生じても、それを乗り越える方法さえ知っていれば対応がよ…
経済学には、「効率性と公平性のトレードオフ」という基本原理があります。この原理の詳細は小塩(2024)や橘木(2024)をご覧ください。今回は、この基本原理に基づいて、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用それぞれの特徴と比較を行ってみましょう。 経済シス…
昨今、多くの企業が、自社組織のDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を促進するためのダイバーシティ推進策を実施しています。ダイバーシティ推進策が狙いとするところは、企業におけるマイノリティ従業員(女性や少数人種、少数民族など…
日本の企業社会はかつてから男性社会だと言われ、ジェンダーギャップ指数においても世界中で最下層グループに属するなど、社会的に重要なジェンダー平等については不名誉な立場にあります。その挽回の狙いも含め、女性活躍推進の動きは加速しつつあるように…
近年の急速なAIの発展とともに、将来AIが人間の仕事を奪っていくのか、それとも、AIと人間はお互いに協力していくようになるのかなど、さまざまな議論がなされています。そのような問いの1つに「AIを活用していくことによって従業員の創造性(クリエイティ…
近年、心理的安全性というコンセプトが一世を風靡し、数多くの企業が職場の心理的安全性を高める施策について頭を巡らせています。心理的安全性は、一般的には「自分の思った通り発言したり行動しても危険が及ばない(安全な)チームの風土」というように定…
風通しの良い組織風土とか透明性の高い経営施策の重要性は、経営学でも再三にわたって指摘されてきました。人的資源管理において透明性が議論になる施策の1つが、従業員が受け取る賃金の決定です。先行研究においても、賃金に関する透明性には、賃金決定プ…
人的資本経営は、実務の世界では「人材を資本と捉えて企業価値の向上につなげる経営手法」だと定義されているようです。例えば、パーソルの調査によると、「近年、大企業を中心に、人材を「資本」と捉えて、採用や育成などの人材施策に投資を行うことで、中…
「人的資本経営」という用語が使われだし、これが一大ブームとなり数年が立ちました。ブームの勢いは衰えを知らず、本ブログとしても無視するわけにはいかなくなってきました。当初から、人的資本経営(ヒューマン・キャピタル・マネジメント)という言葉に…
近年脚光を浴びている「パーパス経営」と切っても切り離せないものが「ビジョン」です。佐宗(2023)によれば、パーパス経営の中でも、ビジョンは、究極的にどこを目指して進んでいくのかという「方向感覚」を示すものであり、企業理念浸透、パーパス経営の推…
近年は、「パーパス経営」がバズワードとなり脚光を浴びています。バズワードになる前も、企業経営におけるミッションや経営理念、経営哲学の重要性は再三指摘されてきました。よって、パーパス経営という言葉を「ミッション経営」とかに置き換えたりしても…
複雑化が進む現代社会では、組織や社会において困難な課題を多くの人々の力を結集して解決していく必要に迫られています。社会全体でいえば、地球環境破壊、社会的不平等、国際紛争、エネルギー、生命倫理など、企業や組織でも、グローバル化、ダイバーシテ…
予期せぬ生じる偶然をチャンスと捉え味方にしていくことは、自分のキャリアを切り開いていく上でとても重要です。そして、この考え方を土台にした理論の代表格が、クランボルツの「計画された偶発性」であったり「セレンディピティ」であったりします。そし…
歴史を変えるような画期的ななビジネスや商品、あるいは革新的なマネジメントの改善などにつながるようなイノベーティブなアイデアはどのように生み出されるのでしょうか。これに関しては、ニュートンのリンゴのように、何かの拍子に突然ひらめく(アイデア…
近年、「行動経済学」が脚光を浴びています。行動経済学とは何かを一言でいうならば「人々の経済行動の理解と説明に焦点を絞った心理学」もしくは、「経済学の衣をまとった心理学」だと言えます。本質的には「人間の判断や意思決定に関する心理学」なのです…
経営学では20年ほど前に提唱され、近年になって実務界にも広がってきているコンセプトとして「エフェクチュエーション」があります。これは、優れた起業家が実践する原則としてアントレプレナーシップ分野の研究で用いられている概念です。吉田・中村(2023)…
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)を初めとして、時代が大きく変化していく中で生き残っていくために組織を変革させていく必要性が高まっています。そこで欠かせない視点が、経営戦略・事業戦略・人材戦略の連動であり、それを実現するための組…