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組織設計の人事経済学「番外編」ーデジタルトランスフォーメーションはテイラー主義を復権させるのか

今回は、本ブログの人事経済学シリーズのうち「組織設計の人事経済学」の番外編として、デジタルトランスフォーメーション(DX)が、組織設計、職務設計、そして人々の働き方に与える影響について考えてみたいと思います。例によって、ラジアー & ギブズ (…

組織設計の人事経済学3ー最適な職務設計を通じて人材と組織のパフォーマンスを最大化する

本ブログの人事経済学シリーズでは、人材や組織が経済合理性の原則にしたがって行動することを前提に、優れた人材の獲得と活用を可能にする人事管理と、人材活用の制約条件となりうる組織構造の効果的な設計を通じた組織のパフォーマンスの最大化について理…

組織設計の人事経済学2ー経済合理性に基づいた組織デザインでパフォーマンスを最大化する

企業は、優れた人材を獲得し、それらの人材を活用することで組織のパフォーマンスを最大化しようとします。しかし、企業が優れた人材を活用して組織パフォーマンスの向上につなげられるかどうかを左右する大きな制約条件として、「組織の構造」が挙げられま…

組織設計の人事経済学1ー組織パフォーマンスを最大化する意思決定構造

人事管理で重要なのは、自社にとって必要な人材を獲得し、その人材を活用して企業業績を最大化することです。そのために、過去の人事経済学シリーズでは、募集と採用選考、教育投資と人材維持、そして報酬・昇進・評価について解説を行ってきました。しかし…

報酬・昇進・評価の人事経済学3ー人材の努力を最大化する昇進制度

通常の人事管理では、昇進というのは、適材適所を実現するための手段として捉えるのが一般的です。つまり、特定のポジションに最適な人材を企業内外から見つけ出して当てがうということです。しかし、昇進は、報酬の増加を伴う上方向の移動であるという点も…

報酬・昇進・評価の人事経済学2ー成果主義報酬設計の基本原則

前回の報酬・昇進・評価の人事経済学1では、企業の人材も損得勘定のみで行動することを前提に、企業が従業員から努力を引き出すためのインセンティブ設計の基本について解説しました。今回は、ラジアー&ギブス(2017)を参考に、成果主義報酬やストックオプ…

報酬・昇進・評価の人事経済学1ー人材の努力が引き出されることで企業利益が最大化するメカニズム

これまでの人事経済学シリーズでは、働く個人も、人材を雇用する企業も、損得勘定に基づいて利益を最大化するように行動するという前提のもとで、どのような募集・採用選考、教育投資、人材維持・放出政策をとることが双方にとってハッピーな結果をもたらす…

教育投資と人材維持の人事経済学2―人材価値の含み損状態を切り抜ける

前回のエントリーでは、企業と人材とが共同で企業特殊的人的資本に投資し、それが成功して企業が持続的競争優位性を獲得し、それにより他社を上回る利益を上げ続けることができれば、企業も従業員も得をし、従業員は企業に留まり続けることを示しました。こ…

教育投資と人材維持の人事経済学1―企業も従業員も得する教育投資の方法

人事経済学の基本的な前提となっているのは、働く個人も、人材を雇用する企業も、利益(もしくは幸福)を最大化するように行動する、平たく言えば、損得勘定で行動するということです。これは、ヒト、モノ、カネといった3つの経営資源のうち、ヒトだけが、…

募集と採用選考の人事経済学3―常に費用対効果で考える

今回も、ラジアーとギブス(2017)を参考に、募集と採用選考について、経済学的視点から考えてみます。企業が募集と採用選考を通して利益を最大化させるためには、常に費用対効果の視点から考えることが重要です。募集については、広告費用などをかけて、自社…

募集と採用選考の人事経済学2ーリスクコントロールで人的資源価値を最大化する

前回のエントリーでは、労働市場における情報の非対称性を逆手にとった工夫をすることで求職者の自己選択を促し、自然と自社にとって価値の高い人材のみが応募してくる仕組みをつくるロジックを説明しました。今回は、ラジアーとギブス(2017)を参考に、人材…

募集と採用選考の人事経済学1ー自己選択の促し方

以前のエントリーで、人事の経済学的理解とは、人事管理の仕組み(職務設計、採用、育成、賃金、評価など)によって、人間はどのように行動するのか(例、求職者はどのように就職活動するのか、従業員はどのように働くのか)。そして、その結果として企業は…

人事組織に対する経済学的アプローチはほんとうに役に立つのか

経営学の分野でもとりわけ生身の人間を扱う組織行動論や人的資源管理論は、ベースとして心理学や社会心理学を用いる研究が支配的です。より人間関係に焦点を当てた社会学的アプローチも見られます。その理由としては、心理学や社会心理学は、人間の認知、感…