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組織の一体感を高めるリーダーシップが常に有効とは限らない:連合型リーダーシップの可能性

リーダーシップといえば、組織やチームのメンバーを、組織やチームの目的を実現する方向に動かしていく(動機づける)プロセスとして理解できます。そして、多くの場合、組織であればメンバーの組織との一体感を高めることの重要性がしばしば指摘されます。…

異なる価値観を持つメンバーを束ねて組織の一体感を作り出す方法

パーパス経営を実践していくうえでカギとなるのが、組織メンバー全体に組織のパーパス、理念、ミッションなどが浸透し、組織メンバーが一丸となってその実現にむけて情熱を傾けられるような一体感、連帯感、帰属意識を醸成し、維持することだと考えられます…

派遣社員の積極的活用は業績を押し下げる。ではどうすればそれを防げるか

派遣社員を含む非正規雇用の労働力に占める割合は、日本においても正社員が中心であった高度成長期と比べるととりわけバブル崩壊以降、年々高まってきました。日本以外でも派遣社員の活用は広く普及しています。多くの人々は、企業が人件費負担を減らして業…

事業アイデアの創造的改訂プロセスを左右する「心理的オーナーシップ」と「創業者のアイデンティティ」

新規事業を創造していく上で、創業者のオリジナルな事業アイデアは大変重要ですが、それだけでは成功にこぎつけません。新規事業の創造に携わっていく中で、創業者は利害関係者(投資家や潜在顧客など)から様々なフィードバック(批判、改善提案など)を受…

ライバル企業に移籍した社員の心理と行動をアイスホッケーのデータで理解する

企業は人で成り立っています。企業にとって人材は命であり、企業競争力を大きく左右するのも人材です。しかし、企業はすべての人材を新卒採用から内部で育てていくわけにはいかず、優秀な人材を外部から引き抜くという手段も取らざるを得ません。とりわけ、…

組織やキャリアにおけるアイデンティティ・ワーク

組織行動論やワークキャリア論において近年脚光が当たっている概念が「アイデンティティ・ワーク」です。Caza, Vough, & Puranik (2018)による文献展望によれば、組織場面や職業場面でのアイデンティティ・ワークとは「社会的文脈における集団的、役割的、個…

自分で決めた肩書を使うだけで働く人々が元気になる

会社の従業員がいつも元気で生き生きと働いているわけではありません。実際、日本では従業員のワーク・エンゲージメントが世界的に見てもかなり低いという調査結果もあります。また、職場によっては、精神的にきつく、精神的に疲弊する仕事に従事している従…

社会人はどのようにしてソーシャル・ネットワーキング・サービスと付き合っているのか

フェイスブックやツイッターなど、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用することが当たり前の時代になってきました。SNSは、知人や友人との付き合いかたも変えつつあります。例えば、SNSが普及する以前では、基本的に人付き合いは…

組織アイデンティティと組織内実践は相互に織り込まれ、組織変革を阻害する

組織アイデンティティとは、ひとことで言えば「私たちの組織はいったい何者なのか」ということです。このことから、これまでの組織アイデンティティの研究は、組織を構成するメンバーの認知的な働きに焦点を当ててきました。例えば、どのようにして組織アイ…

プロフェッショナルが行っている「アイデンティティ・カスタマイゼーション」とは何か

仕事をする人々にとって「私は何者であるか」を意味する「職業アイデンティティ」は重要です。とりわけ、医師、法律家、会計士、デザイナーなどのプロフェショナルとか職業人と呼ばれる人にとって、職業アイデンティティは、職業人としての誇りや使命感、倫…

「勇気」を通して職業人としてのアイデンティティを鍛える

2013年に「半沢直樹」というドラマが大ヒットしました。「倍返し」という言葉も流行しました。大ヒットの理由は、主人公の半沢直樹が、銀行という組織で起こる様々な理不尽な辞退に敢然と立ち向かった姿に「勇気」をもらった人が多かったからではないでしょ…

ワーキングマザーになるということ:妊娠した女性社員にとってのアイデンティティの試練

働く人は誰しも、キャリアの節目において、職業上のアイデンティティを変化させる必要性が生じるでしょう。例えば、平社員から管理職になるとき、異なる分野へ移動するとき、海外勤務を命じられた時、転職するとき、独立したときなどです。しかし、私たちが…

組織で働く多文化人材はどのような特徴をもち、いかなるかたちで組織に貢献するのか

世界がグローバル化するにつれ、企業で働く人々の中に、同一国で生まれ育った典型的な人々に加え、複数の文化的背景を持った多文化人材(multicultural employees)が増えるようになりました。例えば、他の国から移民してきた人材、海外赴任などで長期間他国に…

組織アイデンティティが脅威にさらされたとき、組織文化が果たす役割とは

「自分たちはどんな組織なのか」という組織アイデンティティは、環境の変化とともに脅威を受ける場合があります。例えば、ユニークな商品やサービスを提供するなど、他社と異なっていること(差別化)は、その会社の組織アイデンティティの重要な源泉でしょ…

組織アイデンティティ喪失の危機をどう乗り越えるか

「私たちの組織はいったい何者か」という基本的な問いの答えでもある組織アイデンティティは、通常、「組織メンバーが自分たちの組織に対して知覚している、中心的、持続的、独自的(central, enduring and distinctive)な属性」(Albert & Whetten, 1985)とい…

自分と組織との「適度な距離感」を保つ方法

日本の企業では「辞令1本でどこにでも行く」というような正社員としての働き方が従来から多くなされてきました。会社に自分自身を完全に一体化させ会社に忠誠を尽くす生き方・働き方が肯定されてきたのかもしれません。しかし近年では、私たちが会社などで…

なぜ海外赴任経験者は会社を辞めやすいのか

グローバル化が急速に進展する中、企業にとって海外赴任社員が果たす役割の重要性は日に日に高まっています。しかし、現地にうまく適応し、現地で活躍してくれる海外派遣人材ほど、赴任期間を終了して帰国したあとに会社を辞めてしまうリスクが高まっている…

組織アイデンティフィケーション:人は2つの組織に同時に同一化できるのか

組織アイデンティフィケーション(組織への同一化)とは、従業員が、所属する組織との間に感じる一体感や帰属意識で、組織の一員としての自分を定義づけるような傾向を指します。簡単に言えば「組織との一体感」「組織への帰属意識」です。 人々は、所属する…

組織アイデンティティはどのようにして形成されるのか

私たち1人ひとりにとって「自分はいったい何者なのか」という問いへの答えとなる「アイデンティティ(自我同一性)」は、生きていくうえでもっとも根本的かつ重要なものであると同様に、組織にとっても「私たちはいったい何者なのか」という問いへの答えと…

会社への帰属意識の醸成に最初の上司が重要なワケ

会社に入社する新人にとって、その会社に自分自身をどれだけ帰属させるか、あるいは組織と自分自身を同一化(アイデンティフィケーション)するかは、その会社で長期間にわたって仕事をしていくうえで重要な役割を果たします。自分自身のアイデンティティに…

ストーリーとアイデンティティが織りなす新たな組織形態の形成プロセス

組織アイデンティティは、組織として「私たちはいったい誰(何)なのか」という問いに答えるものとして理解できます。ですが、従来の組織アイデンティティの研究は、暗黙のうちに、当該組織がすでに存在するものとして、その組織のアイデンティティの特徴を…

仕事観や会社のイメージは日米でどう違うか

わが国でも、日本企業と外資系企業とでは、職場の雰囲気や社員の特徴がかなり違うと感じることがあります。例えば、日本企業で正社員として働いている場合、「明日に突然、解雇されるかもしれない」と考えるのはほぼ非現実的でしょう。それだけ、雇用の安定…

複数の顔を持つ組織のマネジメント

組織アイデンティティとは、一言でいえば、組織として「私たちはいったい何者なのか」の答えとなるものです。何が私たちの組織を形作る中心となっているのか、何が他の組織と違うのか、何が一貫しているのか、などについての答えでもあります。これに関して…

変革期における組織アイデンティティの曖昧性

近年、企業の合併および買収を始め、さまざまな形で企業にとって組織アイデンティティの変化を含む大きな変革が起こる機会が増えてきました。「私たちは何者なのか」を意味づける組織アイデンティティの変化は、組織変革プロセスにおいても重要な概念となり…

企業合併における移行的アイデンティティ理論

近年、M&A(企業の合併および買収)が盛んになり、企業に勤める従業員にとっては、自分の働いている企業が他者と合併し、新たな企業に生まれ変わるという事態も珍しくなくなりました。自働く人にとっては誰であってもその可能性が考えられるような社会になっ…

仕事におけるアイデンティティ形成のメカニズム

人々にとって「私は何者であるのか」を定義することは重要です。私が何者であるのか理解できなければ、人格が分裂し、まともな生活は送れないでしょう。これを「自己同一性(アイデンティティ)」といいますが、仕事においても、私は何者であるのかという自…

アイデンティティ・ワークとセルフ・ナラティブ

Ibarra & Barbulescu (2010)は、自分自身のストーリーを物語る、セルフ・ナラティブは、キャリアの転換期におけるアイデンティティ・ワーク(自分とは何かについての再構築、再定義)の有効なツールであるといいます。以前の自分と、これからの自分の橋渡し…

キャリア転換に重要なアイデンティティ・ワーク

現代のビジネス社会をめぐる環境変化はますます激しくなっています。そして、働く人々は、好む好まざるに関わらず、キャリア転換を経験する頻度が高まっています。それは、自分の意志で転職をするケースや、会社内の人事異動で予想外の職場に移る場合などを…