地球規模での会社経営に必要な人材マネジメント

チュルパンと高津(2012)は、グローバル経営すなわち「地球規模での会社経営」で必要なのは、「地球規模の幅広い視野を持ち、長期的に事業を構想する力」と、「文化や言語を超えてその構想を実現するマネジメント力」だといいます。そして残念ながら日本企業にはその力が欠けてしまったと指摘します。


例えば日本企業には「ものづくり」「高品質」などの「こだわり」はあっても、地球規模の長期戦略は曖昧で取り組みが遅れていたと言います。そして、地球規模に見ても生産現場以外のマネジメントがうまくできなかったと言います。地球規模の会社経営で重要なのは、現地のホワイトカラー人材を高度に活用し、彼らの持つ現地市場に関する知識や情報を引き出し、形にしていくマネジメントが必要だというわけです。


つまるところ、グローバルなマインドセットを持ったリーダーが育たず、かつ日本人(男性)中心で多様性の低い人材マネジメントをしてきたことにより、地球規模でみて本当に必要な土俵での戦略的な取り組みができていないという視野狭窄に陥っているとチュルパンと高津は指摘するのです。では、地球規模での会社経営にはどのような人材マネジメントが必要なのでしょうか。


まずチュルパンと高津は、先進企業の取り組みとして、パスポートの色を問わないグローバルな人材活用を例として挙げています。また、成長に人が追い付かない新興国企業では、貪欲にあらゆる手段をとって世界級人材を集める努力をしていることを紹介しています。またチュルパンと高津は、地球規模で活躍できる若い人材を育てると同時に上層部も思い切って改革していく「同時多発的なグローバルHRM」も提唱します。地球規模での戦略の構築を行えるようにするため、外国人役員を加えた役員会改革が必要だというのです。