世界で戦うリーダーを育てるためにはフェア・マネジメントが必須である

グローバル化が進展する世界で日本企業が戦っていくためには、グローバルに活躍できるリーダーの存在が欠かせません。しかし、LIXILグループ社長の藤森氏は、日本経済新聞社のウェブコラムにおいて、日本がかつてのような勢いを取り戻すには企業や組織に世界で戦えるリーダーが欠かせないが、現状をみると日本の企業にはそうした強いリーダーはあまり育っていないと言います。


藤森氏は大手総合商社の石油開発部門で働いていました。仕事はおもしろく、飛び回っているうちに「世界でもっと大きな仕事をしてみたい」と思うようになりましたが、世界に挑戦するような選択肢は社内になかったと言います。しかし、次に転職した世界を代表する米大手企業の日本法人では、人材を国籍や働いている場所で差別することはなかったといいます。そのため、藤森氏は「米国のビジネス界で戦って、アメリカンドリームを達成する」と決意したのだそうです。


そのような経験を踏まえ、藤森氏は、日本の企業をグローバルに戦えるリーダーを輩出する組織に変えるには、まず人事に正しい競争原理を導入することが必要だと主張します。実践の場で結果を出せば、国籍や性別、年齢、立場に関係なく昇進できるという、「フェアで透明な人事」が行われれば組織は活性化し、リーダーシップを発揮する人が出てくるのだというのです。さらにそうした人事の仕組みに合った、「業績を公平に反映する給与制度」が備われば、人材にとって組織の魅力は増し、グローバルなリーダーが育つというわけです。


藤森氏は、2011年にLIXILのトップに就任し、同社をグローバルに通用する会社にするための変革を進めているところだといいます。変革のための実践の第1は「Respect Diversity」です。世界約30カ国の拠点に、宗教、人種、言語、肌の色、性別、大学など多様な背景を持つ社員がおり、そういった環境の中で社員が互いに尊重し合い、ベクトルをひとつの方向に向けるような企業文化を目指しているのだそうです。第2が「Equal Opportunity」で、誰もが平等、公平に評価され、チャンスを得られるような環境づくりです。第3が「Meritocracy」で、社員それぞれが自発的に自分の力を伸ばし、発揮していくような実力主義です。こうした取り組みのなかで、グローバルに戦えるリーダーが必ず、出てくるはずだと藤森氏は言います。